ニュースレターノウハウ VOL.55
究極のニュースレター作成術
ニュースレターを作成させるコツとして”心理学”を学びながら、その手法をニュースレター作成に応用する方法を紹介しています。
心理学は、ニュースレター作成だけでなく、あらゆるところで役に立つ知識ですので、あなたのヒントになれば幸せです。
あなたは、こんな経験ありませんか?
良いと思ったメルマガに書かれたノウハウを実践してみる。
本屋でビジネス書を買ってきて、ビジネスのノウハウを実践してみる。
しかし、営業成績が思うように上がらない。
一向にビジネスの成果は出ない。
ビジネスのノウハウというのは、方法です。
それは、単なる道具であり、または、その道具の使い方のことです。
すぐれたノウハウを知っている、すなわち優れたツールを持つということは、とても大切です。
しかし、もっと大切なのは、それをどう使うかということ。
そして、どういう「気持ち」「心構え」で、それを使っていくか?ということが大切になります。
ひとつおもしろいエピソードをご紹介します。
ビジネスとは、直接関係なさそうな、ある病院での出来事です。
ある病院の先生が、認知症の家族の方、A子さんから相談を受けました。
A子さんは、夫の父B男さんの介護をしています。
B男さんはかなり認知症が強く、介護に手間がかかります。
A子さんは、今まで何年も辛抱強く介護をしてきました。
しかしながら、今一番つらいのは、B男さんが介護に抵抗することだと言います。
例えば、オムツを替えようとしても、抵抗してやらせてくれない。
あるいは、汚れたオムツをその辺にまきちらしてしまう。
食事を食べさせても、食べようとしない。
そして、A子さんの悪口を言うのが、一番つらいそうです。
A子さんの表情はかなり憔悴しており、明らかに介護疲れのようです。
「一体、これからどうしたら良いでしょうか?」
と、深刻な表情で相談されたそうです。
一見どうしようもなさそうな状態に見えます。
「介護地獄」といっても良いかもしれません。
しかし、こうした限界状況を突破できる方法があるのです。
先生が、A子さんに言いました。
先生:「たいへんお疲れですし、介護も大変ですね」
A子:「はい」
先生:「もう介護でヘトヘトですから、介護も嫌になっていますね」
A子:「はい」
先生:「介護をイヤイヤやっている部分は、ありませんか?」
A子:「そうかもしれません」
先生:「B男さんについて、イヤなイメージを持っていませんか?」
A子:「そうかもしれません」
先生:「でも、介護をはじめた最初の頃は、誠心誠意、一生懸命介護されていましたよね」
A子:「はい」
先生:「良い対処法をお教えします。
B男さんについての嫌なイメージは全て忘れてください。
クソシジイという気持ちが心の底にあるかもしれませんが、それも全て忘れてください。
一旦、テレビゲームをリセットするように、完全にゼロにもどしてください。
介護を始めた最初の頃の気持ちを思い出して、誠心誠意の気持ちで介護してください。
これをずっと続ける必要はありません。
2週間だけで結構です。
気力と体力をふりしぼって、今日から2週間だけ続けてください」
A子:「わかりました。やってみます」
A子さんは、あまり納得していない怪訝な表情で、診察室を後にしたそうです。
そんなことで、「介護地獄から解放されるはずがない」と思ったに違いありません。
2週間後、A子さんは来ました。
柔らかな表情で、笑顔も見られます。
A子:「先生、おじいちゃんの態度が変わってきました!!
介護への抵抗が減ってきたんです」
と、嬉しそうに語るのです。
A子さんは、介護地獄からの脱出のコツをつかんだようです。
さて、先生は「誠心誠意の気持ちで介護してください」と言っただけです。
それだけで、認知症であるB男さんの介護に対する抵抗やA子さんに対する嫌がらせもほとんどなくなってしまいました。
一体何が起こったのでしょうか?
A子さんは、なぜ介護地獄から脱出できたのか?
そして、なぜB男さんの態度が変わったのか?
どういう心理的な変化がおきたのでしょうか?
その理由を考えてみましょう。
A子さんは、介護を苦痛に思っていました。
介護に疲れた、介護はもう嫌だ…そんな風に思っていました。
そしてA子さんは、介護に抵抗するB男さんに対して、ネガティブな印象ができあがっていました。
さて、ここでB男さんの気持ちになって考えてみましょう。
「介護が嫌で嫌でしょうがない」と思っている人と、「誠心誠意、真心込めて介護します」という人では、どちらに介護して欲しいと思いますか?
言うまでもなく、「誠心誠意、真心込めて介護します」という人でしょう。
では、「介護が嫌で嫌でしょうがない」と思っている人に介護されたらどうでしょうか?
介護される方も嫌な気持ちになってきます。
申し訳ない気持ちになったり、反抗心が湧いてきてもおかしくありません。
A子さんは、非常に辛抱強い人です。
介護に対して愚痴を言ったことはありません。
B男さんの悪口を一言も言ったこともありません。
しかし、介護に疲れ、介護はもう嫌だと思っていた。
そういう気持ちで、介護をするとどうなるでしょうか?
元気はつらつ笑顔満面で介護をするということは、できません。
つまり、「介護が嫌だ」という気持ちが、B男さんに伝わってしまっていたわけです。
これが非言語的な伝達です。
コミュニケーションには言語的伝達と非言語的な伝達があるという話は以前しました。
非言語的な伝達とは、言葉以外の全ての要素です。
表情、動作、ジェスチャー、視線など全てをさします。
人間のコミュニケーションは、言語的なコミュニケーション以上に、非言語的なコミュニケーションが重要である、という話でした。
嫌な気持ちで介護を行なっていると、不満を言葉に出さなくても、表情であるとか動作に、無意識のうちに現われてしまうのです。
したがって、「介護が嫌だ」という気持ちで介護をするということは、B男さんに「私はあなたの介護をするのが嫌で嫌でしょうがないんです」と言っているのに等しいのです。
そんなことを言われたら、B男さんはどう思うでしょうか。
当然怒るでしょう。
そして、反抗もするでしょう。
B男さんの介護への抵抗は、当然のこととして理解できますね。
認知症の患者さんの介護への抵抗は、こうした理由によって生じるそうです。
「認知症だからどうせわかんないだろう」と思っていたら大間違いだそうです。
認知症の患者さんは、言語による伝達能力は著しく低下していますが、非言語的な理解力はそれほど障害されないのです。
したがって、介護者の気持ちは全て分かってしまうのです
A子さんには、初心に戻って二週間だけ誠心誠意の介護をお願いしました。
B男さんは、A子さんが精神誠意介護してくれるようになったのが、すぐに伝わったのです。
非言語的に伝わったのです。
真心のこもった介護をされて、嫌な気持ちになる人はいません。
もはや反抗する理由、介護に抵抗する理由がなくなったのです。
A子さんがほがらかな気持ちで介護することで、B男さんもほがらかな気持ちになっていったわけです。
あなたなら、ここまでで「究極のニュースレター作成法則」が何かに気付いたはずです。
「介護」を「ニュースレター」「営業」「ビジネス」などに置き換えてみてください。
あなたは、「俺は仕事に疲れた」「今の仕事はやってられない」「これ以上営業しても、売れるはずがない」そんなふうに考えていませんか?
そんなことを考えながら仕事をすればどうなるでしょう?
もし考えていたらとしたら、それによってどのような結果が引き出されるでしょうか?
木曽