金沢21世紀美術館

石川県金沢市は、藩政期から伝わる、工芸をはじめとする様々な地域の固有文化を持つオシャレな街です。
金箔などが有名ですね。

金沢

金箔

その中心地にある白くて丸い建物。
それが、地元の子供たちの間では「まるびぃ」の愛称を持つ「金沢21世紀美術館」です。
誰でも気軽に立ち寄れる開放感に満ちた建物です。
「まちに開かれた公園のような美術館」が建築コンセプトだそうです。

金沢21世紀美術館

「金沢21世紀美術館」がオープンしたのは、2004年10月9日。
全国から多くの人が訪れ、入館者数は国内でもトップクラスです。
兼六園の斜め向かい、金沢市役所の隣にあり、金沢屈指の繁華街である片町や香林坊(こうりんぼう)からも徒歩圏内。
この場所は、元は金沢大学附属中学校や小学校などがあった場所で、市民にもなじみの深い立地です。
「まるびぃ」という愛称以外にも、市民からは「21美(にじゅういちび)」と略して親しまれています。

兼六園

金沢市役所

香林坊

自然公園の中や郊外ではなく、市の中心に建てることで、コンペの段階から“開かれた美術館”ということが求められたそうです。
また同時に、交流館という市民のための施設を美術館に併設させるというプログラムを持ち、人びとがより気軽にアプローチできることも望まれたそうです。

多様化する21世紀にどのような可能性を持つのか、インターカルチュアルな視点に立って問いかける実験の場となっています。

金沢21世紀美術館の建物は、地上1階、地下1階建て。
上から見ると綺麗な円の形をしています。
芝生の敷地中央にあり、円形総ガラス張りで、「正面」といえる面がありません。
逆にいえば、全ての面が正面となっています。

外観

自由に出入りできるようにと、出入口は東西南北に4つ配置されています。
総合案内のある本田通り口以外にも、兼六園方面、香林坊方面、柿木畠方面などの方向からも入場できるようになっています。
初めて訪れると、正面入口がどこなのか、少し戸惑うかもしれません。

建物を取り囲むように広がる広い芝生には、桜や柳などの樹々が植えられています。
木陰に座っておしゃべりを楽しんだり、横になって休んでいる人もいて、自由にくつろげるスペースになっています。
もちろん美術館の敷地内なので、屋外エリアにもいくつかの作品やおしゃれなオブジェがあります。

屋外には所々に、地中から飛び出したラッパのような作品があります。
ラッパ状のこの作品は、芝生上に12個点在しています。
管が地中を通して作品を2つずつ繋げています。
一方で発した音や声が、管を伝わってもう一方から聞こえるという、糸電話を連想させるアート作品となっています。
一人でも楽しめますが、二人以上で来館すると、また違った楽しみ方ができます。

ラッパ

オブジェ

また、芝生の上には、銀色のドロップチェアがあちこちに置かれています。
ドロップチェアや雲のようなオブジェなど、そのほとんどが、見るだけでなく触れたり入ったりできる体験型となっていて、本当に「楽しめる空間」が創り出されています。
他にも、様々な作品があったり茶室もあったりと、飽きさせない空間となっています。
天気がいい日には、公園で遊ぶ気分で屋外を散策するだけでも楽しそうですね。

ドロップチェア

雲のオブジェ

館内は、無料で楽しめる「交流ゾーン」と、展覧会の展示作品を観覧する「展覧会ゾーン」の、二つのゾーンに分かれています。
「交流ゾーン」には、ミュージアムショップやカフェレストラン、アートライブラリーなどもあり、かなりの面積を占めているのが特徴的です。
交流ゾーンが多いのは、気軽にアートに触れてほしいという思いからだそうです。
ガラスのアートサークルに沿った内側は、ほとんど「交流ゾーン」となっていて、デザイナーズチェアが多く配置されています。
このように気軽に訪れることができるのも、人気の秘密の一つです。

デザイナーズチェア

また、市役所口から入ってすぐにある、天井を含む5面がガラス張りとなっているエレベーターからは、広い空間がぐるりと見渡せます。
エレベーターでさえもアート作品として昇華させてしまうセンスには脱帽です。

エレベーター

各展示室は現代美術の展示に適した白い壁面の空間(ホワイトキューブ)であり、個々の展示室はそれぞれ独立した立方体として円形の館内に配置されています。
このため、展覧会ごとに一応の順路は決められているものの、鑑賞者はどれでも好きな展示室からランダムに見ていくことが可能です。

展示室

個性の多様化も1つのコンセプトなので、このように個人が自由に自分の見たい順番で鑑賞できるよう設計されています。

建築設計競技で選ばれた設計者は、妹島和世と西沢立衛による建築ユニット「SANAA)」です。

妹島和世と西沢立衛

彼らは、開館後に実際に展示を行う学芸員から、世界中の美術館の展示室をモデルに正方形や長方形、円形などさまざまなタイプの理想的な展示室の提案を受けました。
それらの展示室を、集落のようにおのおの独立させて配置し、天井と円形のガラスの外壁とで覆っています。
外壁同様、各所にガラスが多用されているため、館内の見通しが非常に利きやすいです。
中央の有料エリアからも建物外部の公園や道路を見ることが出来るため、とても開放的です。

内観1

1階の無料エリアと地下1階には市民ギャラリーがあり、市内の芸術団体や学校の展覧会、新聞社主催の展覧会などに貸し出されることもあります。
また地下1階には、劇場や来館者用駐車場、作品搬入口や収蔵庫など、美術館の裏方となるスペースが広がっています。

SANAAは、この建物等によりヴェネツィア・ビエンナーレ第9回国際建築展の最高賞である金獅子賞を受賞しました。

妹島 和世(せじま かずよ)は、1956年10月29日生まれ、茨城県出身で、世界的にも非常に有名な女性建築家の1人です。
横浜国立大学大学院Y-GSA教授、ウィーン応用芸術大学教授、ミラノ工科大学教授、大阪芸術大学客員教授、日本女子大学客員教授など、様々な肩書があります。
また、プリツカー賞、日本建築学会賞、吉岡賞など他多数の賞を受賞しています。
SANAAを西沢立衛と共同で運営し、国内外で多数の建築を手掛けています。
ディオール表参道や、岡山大学Jホール、海の駅なおしま、プラダ・ビューティ 香港Lee Garden店、イスタンブール・ビエンナーレ ガーデンカフェ、ニューミュージアム(ニューヨーク)、ルーブル=ランス(ランス)、マルシャルファイヨール通りのアパートメントなどなど、多くの建築があります。
美術館など多くの人々が来訪するような建築もあれば、カフェやアパートのような建築もあります。

海の駅なおしま

ディオール表参道

ルーブル=ランス

西沢 立衛(にしざわ りゅうえ)は1966年生まれの建築家です。
横浜国立大学大学院Y-GSA教授で、SANAA代表、西沢立衛建築設計事務所代表でもあります。
プリツカー賞、日本建築学会賞作品賞3度、吉岡賞など多数の賞を受賞しています。
基本的に国内の建築を手掛けていて、軽井沢千住博美術館や十和田市現代美術館などの美術館建築から、寺崎邸やCawaii Bread & Coffeeなど、住宅やカフェなども手掛けます。
もちろん、SANNAとして活動する際は、国外の建築にも携わります。
最近ではチリにHouse in Los Vilosという建物を建てています。
また、建築家西沢大良は実兄にあたります。

軽井沢千住博美術館

寺崎邸

「金沢21世紀美術館」の中でも、とてつもない人気を誇る作品の1つが、『スイミング・プール』です。
こちらは、レアンドロ・エルリッヒ作で、通称「レアンドロのプール」と呼ばれています。

プール上から

地上部は天井のない中庭のような場所にあります。
ライムストーンを配したデッキから見下ろすと、かすかに水が波立っています。
本物のプールのように見える中には、時折人影が見えます。
水中に人がいるのでしょうか??

不思議に思って建物内部地下1階に行ってみると、そこは水中ではなく、一面が水色に染まった空間です。
内部は思ったよりも深さがあり、思わず上を見上げたくなります。
地上部で見下ろす人影がゆらめき、自分が本当に水の中にいるような不思議な感覚になります。

プール内部

金沢21世紀美術館の所蔵作品には、体験型作品や、部屋の空間全体を活かしたインスタレーションが多いのが特長です。
無料入場エリアには、ジェームズ・タレルの作品を恒久設置した部屋があるなど、現代美術をいつでも安価に体験できる環境があります。
これらは、この美術館のために作家に依頼して制作されたコミッション・ワークです。

収蔵方針に関し、1980年代以降を主としたことは、知名度の低い作家ばかりとなりそうではありますが、遠い将来のための先行投資と見ることもできます。
そのほか1990年代以降の国際美術展を騒がせた作家の作品など、最新の様々な美術潮流を反映して収集されているため、開館前から美術界では世界的に話題になっていました。
美術館側も、2003年のヴェネツィア・ビエンナーレにて開館告知パーティーを開催するなど、知名度の向上に務めていました。

1980年代より前の時代、例えばポップアートや印象派の有名作家の優品は、すでにほとんどが各国の美術館やコレクションに納まっています。
有名作家の作品を買おうとすれば、大コレクションの売却を待つか、もしくは今マーケットに出ている二級品を高値で買うか。
いずれにしろ、身の丈を大きく超えた大金を使うことになります。

しかし、比較的安価な現在進行形の美術に的を絞って、今のうちに買い集める金沢の収集方針は、限られた予算を有効に活かして良いコレクションを購入できる案です。
つまり、この美術館は将来的に、そして現在進行形で、価値を増やし続けている美術館といえるでしょう。

また、作品を観覧する金沢周辺の児童学生や、産業界、工芸デザインなどにも最新の刺激を与えて、地域社会を活性化させる効果も期待できます。
この観点から、同じ石川県の輪島市の漆工工房「雲龍庵」の作品なども所蔵しています。

雲龍庵

建物内外において、洗練された空間でありながらも、飽きさせない工夫や遊び心がちりばめられており、素晴らしい体験型美術館だといえます。
さらに、アーティスティックなグッズが販売されていたり、食事に関しても、おしゃれなカフェレストランで金沢の美味しい料理が楽しめます。
金沢に行ったら、必ず行きたい場所ですね!

ふらっと散歩で行くも良し、がっつり建物内に入ってみて回るも良し、料理だけ食べに行くも良しの、美術館です。

レストラン

 

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